ジブリ都市伝説

トトロ死神説が怖すぎる!?都市伝説といわれる病院や地蔵の謎は?

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好きなジブリ映画にあげられることも多い「となりのトトロ」ですが、ネット上では恐ろしい都市伝説がまことしやかにささやかれています。

それが「トトロ死神説」です。

あの可愛いトトロの正体が死神だなんて信じられない話ですが、これを裏付けるような点が映画の中のあちこちに隠されているというのです。

恐ろしいウワサは、さつきとメイのお母さんが入院している七国山病院や、迷子のメイがしゃがみこんでいた場所にある地蔵にまで及びます。

ここでは「トトロ死神説」や、「七国山病院」のウワサ、地蔵に「メイ」の名前が刻まれている疑惑といった「となりのトトロ」にまつわる都市伝説を考察していきます。

 

トトロ死神説が怖すぎる!?

子どもからの人気も高いトトロですが、実はトトロは子どもをあの世に連れ去ってしまう死神なのではないか、という疑いがネット上では根強く残っています。

トトロと出会ったメイは死んでしまい、さつきもメイを追って死を選んだのでは…と言われています。

なぜそのような説が唱えられているのかというと、さつきとメイの描写に不自然な点が見られるからです。

さつきとメイの影が途中からなくなっていることにお気づきだったでしょうか。

ねこバスに乗ってせっかく会いに行ったのに、何故直接お母さんにトウモロコシを渡さなかったのでしょうか。

これはさつきとメイが死んでしまったからではないかといわれています。

「ため池に浮かぶサンダルはメイのものだったのでは?」「メイが死んでいることを悟った上でさつきはメイのところに連れていってと願ったのでは?」など、恐ろしい疑惑の声は尽きません。

 

トトロは死神なの?

トトロは本当に死神なのでしょうか?

はじめてトトロに会ったメイが興奮気味にさつきにトトロのことを話すシーンがあります。

「トトロ」の名前を聞いて、さつきは「絵本に出てきたトロルのこと?」と首をかしげます。

トトロを死神であるとする理由にあげられるのが、ここで出てくる「トロル」です。

「トロルは子どもをさらう恐ろしい妖精であり、トトロがさつきとメイをさらっていくことを暗示している」というのです。

たしかに、北欧で語られるトロルは物を奪ったり、人を襲ったりする存在です。

エンディングでさつきとメイがお母さん読んでもらっている絵本「三匹のやぎのがらがらどん」もノルウェーのお話で、やぎを食べようとするトロルが出てきます。

恐らくさつきが言った「絵本に出てくるトロル」とは「三匹のやぎのがらがらどんに出てくるトロル」のことなので、さつきもトロルと聞けば凶暴なモンスターを想像したはずです。

トトロ=凶暴なトロルだとすれば、トトロが死神といわれるのも頷けます。

しかし、「トロル」の名前を出したとき、さつきに怖がっているそぶりはありません。

「三匹のやぎのがらがらどん」に出てくるトロルはやぎを食べようとするモンスターですが、最後には大きなやぎにやっつけられます。

さつきにとって、トロルは絵本の中のやられ役という、現実では恐れるに足らない存在という認識ということです。

死神を暗示するためにトロルという言葉を出したのだとすれば、トロルに打ち勝つ物語である「三匹のやぎのがらがらどん」をわざわざエンディングに登場させることはちぐはぐではないでしょうか。

トトロがトロルであると位置づけるならば、三匹のやぎはメイとさつきとお父さんです。

「三匹のやぎのがらがらどん」を「となりのトトロ」に当てはめると、「小さいやぎと中くらいのやぎ」=「メイとさつき」ではかなわない相手でも、「大きいやぎ」=「お父さん」は何とかしてくれる、ということになります。

引っ越してきたばかりのとき、お風呂で強風に怯える娘たちをお父さんが笑い声で励ましたシーンに繋がります。

このように、ジブリが意図的に「トロル」という単語をさつきのセリフに盛り込んでいたとしても、それだけでは「トトロ死神説」の裏付けとして不十分です。

「トトロ死神説」の情報の多くは、トトロが死神であるとする根拠より、むしろ「さつきとメイ死亡説」がメインとなっています。

さつきとメイが亡くなっていると推測される描写をあげて、「トトロが死神だからだ」という理由付けをする意見がほとんどです。

トトロのせいでさつきとメイが亡くなったという描写が作中にない以上、トトロ=死神という解釈はあまりにも強引であるように感じられます。

 

サツキとメイは亡くなっている?

前述のとおり、トトロ死神説ではさつきとメイは亡くなっているといわれています。

真っ先にその根拠としてあげられるのが、後半からさつきとメイの影がなくなっていることです。

影がない=肉体がない、つまりは死んでいるという解釈のようです。

メイが迷子になって、近所の人も巻き込んでさつきがメイを探し回るという展開あたりから物語はクライマックスに差し掛かります。

探し回っているうちに日が暮れはじめ、それでも諦めずさつきがメイを探して七国山への道を走り続けるシーンは涙を誘います。

この時点では日の傾きを表すように横に長い影が描きこまれています。

指摘のように影がなくなるのは、この後、日が暮れてからのシーンです。

日が暮れて、画面全体が薄暗い色合いになり、メイを心配するさつきも深刻な表情のため、「まさかメイは…」と思ってしまうような絶望的な雰囲気が漂います。

はっきりとしたことはわかりませんでしたが、2006年ごろから影についての指摘がはじまったようです。

そのころから「ため池にあったサンダルはメイのもの」「お母さんに会わなかったのは二人ともすでに死んでいたから」など、さつきとメイの死亡説がネット上で広まっていきました。

 

ジブリ公式が完全否定?

2007年5月1日、ジブリは公式ブログで「トトロ死神説」および「さつきとメイ死亡説」を完全否定します。

影に関しては「作画上不要と判断したため」としています。

たしかに、指摘されるまで違和感なく見ていられたということは、薄暗い中にいるキャラクターにわざわざ影をつける必要がないということでしょう。

メイのサンダルも、映画を見返して確認すればため池で見つかったサンダルが別物だとわかります。

「お母さんに会わなかった」という点についても、恐ろしい意図があるのでは?と疑い始めた人が何もかもを死亡説につなげてしまっただけではないでしょうか。

上記の「さつきとメイ死亡説」の根拠は少し調べればガセであるとわかるものなのですが、公式が否定してからも都市伝説として10年以上語り継がれています。

昭和38年に起こった殺人事件「狭山事件」に衝撃を受けた宮崎駿が、作中に含みを持たせたのではないか、というウワサもあります。

事件が起こった狭山市のとなりの所沢がトトロの舞台であること、さつきとメイの名前が事件のあった五月にちなむこと、年代がだいたい一致することなどから、「狭山事件」と「となりのトトロ」が無関係ではないという主張があるようです。

信ぴょう性の低いウワサなのですが、もし実際に起こった事件を元に子供向けのアニメーションが作られたとすれば大問題です。

事実だとしてもジブリはこれを認めるわけにはいかないので、否定せざるを得ないでしょう。

だから公式の否定以降も「さつきとメイ死亡説」は未だに根強く残っているのです。

 

何故突然「死亡説」が広まったの?

しかしここで疑問なのが、「となりのトトロ」が公開された1988年から18年経った2006年に、何故突然「死亡説」が広まったのかということです。

ここは推測になりますが、「となりのトトロ」の制作に関わった木原浩勝の存在が要因ではないでしょうか。

木原はジブリを退社してから「新耳袋」という怪談小説シリーズを手掛けました。

この「新耳袋」を原作にした長編実写映画が2005年から立て続けに公開されています。

2006年公開の「怪談新耳袋 ノブヒロさん」の主演を務めた内山理名は当時ドラマの主演にも抜擢されるほどの人気女優でした。

内山理名がきっかけとなり「怪談新耳袋 ノブヒロさん」を見た人が作品について調べるうちに、木原浩勝の経歴にたどり着き、「怪談作家がかつてトトロの制作に関わっていた」ことから派生して「トトロにも恐ろしい裏設定があるのでは?」という疑惑が生まれたのではないでしょうか。

当時すっかり普及していたネット掲示板の力も相まって、不確かな仮説にいろいろな理由付けがされて広まったのかもしれません。

ジブリの緻密に作りこまれた世界観のおかげで、「となりのトトロ」には公式も認められない裏設定がある、というウワサにも妙な説得力があります。

映画が公開されてから30年以上経っても、いまだにこうした都市伝説が話題に上るのは、「となりのトトロ」が時代を超えて愛されている証拠といえるでしょう。

 

都市伝説といわれる病院や地蔵の謎は?

「トトロ死神説」の中では、「さつきとメイのお母さんが入院している七国山病院は結核の重病患者の受け入れ先で、一度入ると生きて帰ることはできない=お母さんも死期が近い」といわれています。

さらに、迷子になったメイがさつきと再会した場所にあった地蔵には、メイの死を暗示するかのように「メイ」の名前が刻まれているというウワサもあります。

さつきとメイのお母さんは手の施しようのないほどの重病患者なのでしょうか。

「メイ」の名前の刻まれた地蔵は本当にあるのでしょうか。

 

七国山病院と結核治療

七国山病院のモデルといわれているのが、八国山緑地にある「新山手病院」です。

「新山手病院」はかつては「保生園」と呼ばれる結核専門の療養所=サナトリウムでした。

このことから、さつきとメイのお母さんは結核の治療のために七国山病院に入院していると思われます。

トトロの舞台とされる昭和28年というのは結核がまだ身近な病だった頃です。

かつて結核が「死の病」と呼ばれるほど死亡率が高かったことから、「さつきとメイの母親が結核を患ってる=死期が近い」と考える人もいるようです。

昭和24年にワクチン接種が義務化され、治療法も確立されたことによって結核の死亡率は劇的に低下しました。

結核は昭和25年には死因第一位でしたが、昭和28年には第五位にまで順位を下げています。

このことから、さつきとメイのお母さんが強がりなどではなく、現実的な希望をもって治療を受けていたことがうかがえます。

結核が死に直結するという考えは当時の事情にはそぐわないようです。

 

地蔵にメイの名前が刻まれていた!?

ねこバスに乗ったさつきが迷子のメイを見つける場面にある背景の地蔵に、「メイ」の名前が刻まれていると言われています。

疲れ果ててしゃがみこんでいるメイの後ろの地蔵にカタカナで「メイ」と刻まれているとする意見もあれば、さつきと再会を果たしたメイがねこバスに乗り込シーンで映る地蔵の後ろ姿にひらがなで「めい」と刻まれているとする意見もあるようですが…何度確認しても文字が書かれているようには見えませんでした。

しかしこの場面に地蔵が描かれているのは象徴的に見えます。

お地蔵さんとして親しまれている地蔵菩薩はたしかに仏教において水子(亡くなった子ども)を救う存在という位置づけでもあります。

しかも六地蔵はあの世とこの世の境目を見守る結界のような意味合いで置かれることもあるので、飛躍して考えれば「死んだメイがあの世とこの世の境目でさつきを待っていた」と解釈することもできます。

このように地蔵というモチーフが墓場やあの世をイメージさせることから、背景の陰影の中に「メイ」の文字が見えるような気がしてしまうのかもしれません。

 

まとめ

結論からいうと、「トトロ死神説」は信ぴょう性に欠ける都市伝説です。

「トトロ=死神」であるとする根拠もなく、「さつきとメイ死亡説」も憶測に過ぎないところが多いので、公式の否定を覆すことは難しいでしょう。

「七国山病院は死に際の重病患者の受け入れ先」というウワサも、結核の治療に明るい展望がみられた当時には当てはまらないことがわかりました。

疑惑の地蔵にも「メイ」の名前は見受けられません。

恐ろしいことにつなげられがちな病院や地蔵がデマの土台となって、「トトロ死神説」が膨れ上がったのだと考えられます。

しかしこうした都市伝説がまことしやかに語られ続けていることも「となりのトトロ」の魅力の一つです。

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