ジブリ都市伝説

思い出のマーニー 怖い都市伝説?杏奈精神病説や裏設定って何?

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2014年に公開された「思い出のマーニー」はイギリスの児童文学を原作に製作されたジブリ初のダブルヒロインの作品です。

問題を抱える杏奈と不思議な少女マーニーの織りなす物語は、現実的な世界観でありながら幻想的に展開されていくので、ジブリ映画の中でも独特の魅力と存在感があります。

マーニーの存在やストーリーのほの暗さから「怖い」という印象を持つ人もいるようですが、本作にまつわるウワサの中には「杏奈精神病説」というオカルトとは方向性の違う恐怖の都市伝説も語られていました。

今回は「思い出のマーニー 怖い都市伝説?杏奈精神病説や裏設定って何?」と題して、「思い出のマーニー」の都市伝説や裏設定について考察していきます。

 

思い出のマーニー 怖い都市伝説?杏奈精神病説や裏設定って何?

「怖い」という感想をよく見かける「思い出のマーニー」は、ジブリ映画でありなが子ども向けとは思えない薄暗い側面のある不思議な雰囲気の作品です。

「思い出のマーニー」の都市伝説にはどのようなものがあるのでしょうか。

「思い出のマーニー」の都市伝説としてネット上で語られているものの中でも、「怖い」と思われるものについて調べてみました。

また、主人公の杏奈は作中に見られる行動から「精神病ではないか」という疑惑がまことしやかにささやかれています。

「杏奈精神病説」と裏設定といわれる「百合」疑惑についても考察しました。

 

思い出のマーニー の怖い都市伝説?

ネット上で「思い出のマーニー」の怖い都市伝説と言われているもののほとんどがマーニーの正体に関わるものでした。

一部の人々の間では「マーニーは幽霊なのでは?」と言われています。

なぜ「マーニー幽霊説」という都市伝説が生まれたのでしょう。

マーニーは幽霊?

結論から言うとマーニーは幽霊ではありません。

作中で杏奈との交流が描かれる不思議な少女マーニーとは何者なのか、ということについては、後半に差し掛かったあたりに杏奈が「マーニーは私が作り上げたの」「空想の中の女の子」と言ったことで明らかになりました。

前半で杏奈がマーニーとピクニックに出かけたり、パーティーで踊ったりしますが、全て杏奈の空想の中の出来事だったということになります。

この点に気づかなかった人々はマーニーの正体がわからず、「マーニーは幽霊なのでは?」という疑いが生まれ、「思い出のマーニー」がホラー映画なってしまったわけです。

しかし、「マーニー=杏奈の空想の中の女の子」と気づかされたことによって別の恐怖を抱いた人もいるようです。

空想の中の女の子ってことは、マーニーとの会話とか全部杏奈はずっと一人でやってたの?怖…ッ!

マーニーと出かけるシーンも、会話も何もかも杏奈の空想だったという点から、杏奈の「妄想」に恐怖する人も多く見受けられました。

現実との境目のない「妄想」から「杏奈は精神病では?」という疑惑に恐怖がすり替わってしまったようです。

アンナが親切にしてくれる人たちにも暴言を吐いたり、被害者意識からマイナス思考に陥る様子も相まって、「杏奈精神病説」がまことしやかに語られていますが、これについては後程詳しく考察します。

 

「思い出のマーニー」は怖い映画?

「思い出のマーニー」を観て「怖い」という感想を抱く人も少なくはないようですが、怖い都市伝説と言われているものは「マーニー幽霊説」と「杏奈精神病説」くらいで、あとは物語の中に出てくる「サイロ(=塔のような貯蔵庫)」が怖いという意見が見られるだけでした。

怖いといわれる「思い出のマーニー」ですが、むしろ不思議な体験をモチーフにした作品としては怖い都市伝説が少ない=怖くない映画といえるでしょう。

怖いって感想をよく聞くのに、なんで怖い都市伝説が少ないんだろう…?

怖い都市伝説が少ない理由の一つとして考えられるのは、物語の中で疑惑が解決するところが大きいと思われます。

同じように不思議な体験をモチーフにした「となりのトトロ」では「トトロ死神説」や「さつきとメイ死亡説」など、物語のイメージにそぐわない恐ろしい都市伝説が存在していますが、これは作中の描写に疑わしい部分がいくつもあり、映画を一度見ただけでは疑念をぬぐい切れません。

対して本作「思い出のマーニー」は、「マーニー幽霊説」は後半で否定され、最終的に「なぜ杏奈の空想が現実とリンクしていたのか」という最大の疑問点が解決されます。

マーニーの不思議な雰囲気と恐ろしげに描かれるサイロがホラー要素と捉えられてしまったようですが、そこから派生して語り継がれるほどの「怪談」にはならなかったようです。

 

ツイッターの声は?

Twitterでは公開当時から「怖い」という意見が多く見受けられました。

「思い出のマーニー」と検索しようとすると「怖い」という検索ワードが出てくることからも「思い出のマーニー」=「怖い」という印象は強いようです。

しかし実際にツイートを見ていくと、「思い出のマーニーは怖い」という意見はざっと見た限り大多数というわけではなく、「怖い」という評価を否定したり疑問視する声や、検索ワードに「怖い」が出てくることそのものを話題にしている声もありました。

「思い出のマーニー」=「怖い」という評価自体は確かに存在していましたが、検索ワードから印象付けられているところも大きいようです。

逆に「思い出のマーニー」「怖い」と検索すると、「怖い(少し怖い、ちょっと怖い、怖いと言われている)」けれども「いい映画」という肯定的な意見も少なくはありませんでした。

都市伝説の観点から調べようとするとどうしても「思い出のマーニー」=「怖い」という情報に注目してしまいがちですが、決して大多数の意見ではないと思われます。

 

杏奈は精神病説や裏設定って何?

「マーニー幽霊説」がオカルト的な恐怖だとするならば、「杏奈精神病説」はサイコホラーに分類される都市伝説です。

マーニーの正体が幽霊ではなく杏奈の「空想の中の女の子」=「妄想」であるということから、「杏奈は精神病なのでは?」と言われているようです。

物語前半で見られる周囲への態度の悪さや、こり固まった被害者意識を引き合いに、杏奈を「性格が悪い」「クズ」であるとする声もありますが、杏奈の抱える問題なども「杏奈=精神病」であれば納得のいく行動であるとされています。

果たして杏奈は本当に「精神病」なのでしょうか。

作中の描写を読み解き、さらに監督である米林宏昌のインタビューを参考に考察していきます。

また、裏設定として「百合=女性の同性愛」をテーマにしているのではないかという疑惑も紹介します。

 

杏奈がクズすぎるのは精神病だから?

物語前半、杏奈は養母や親戚のおばさんたちに対して陰で悪態をついたり、滞在先で仲良くしようと気にかけてくれた少女信子に対して「太っちょ豚」と暴言を吐いたりする姿が描かれています。

また、「魔法の輪」の「内側(幸せな人々、普通の人々)」と「外側(不幸な人々、普通じゃない人々)=杏奈」という線引きをした考え方をして、「自分は普通じゃない、不幸だ」という強い被害者意識を抱いています。

杏奈のこういった暗くてひねくれた様子を「クズ」と評価する人もいるようです。

まあ確かに…見ていて気持ちのいい子じゃないなぁ

ネット上では杏奈の「クズ」といわれる部分が精神病の症状に似ていることから「杏奈は精神病なのでは?」という都市伝説が存在しています。

どういった点が精神病の根拠にされているのでしょうか。

・表情が乏しい

・コミュニケーション能力に欠ける

・暴言

・被害者意識が強い

・思い込みが激しい=妄想

こういった杏奈の様子を挙げて精神病を疑う声がみられました。

特にマーニーと過ごした時間のすべてが「妄想」だったという点は観客にとってかなり印象深い出来事といえます。

しかしながら、「妄想」以外の点については病的といえるほど激しいものとは言えず、悩ましい思春期の少女が現状にもがき苦しんでいるだけの健全な姿のように思われます。

被害者意識についても、周囲とは違う家庭環境や、喘息、青い目、加えて補助金の事実を知ってしまったことなどを踏まえると、病的なほど過剰な被害妄想とはいえないのではないでしょうか。

「妄想」についても、物語を見ればわかる通り、直面していた難しい問題と向き合うための杏奈なりの工夫だったという位置づけです。

マーニーを「空想の中の女の子」であることを認め、最終的には何故空想の中でマーニーという少女を作り出したのかを理解し、現実を受け入れ、大きく前進して物語が終わります。

「妄想」というと現実を否定するような意味合いが含まれているように感じられるのでついネガティブに受け取ってしまいがちですが、杏奈は空想の中でのやりとりを通じて現実を受け入れることができるようになったので決してネガティブな「妄想」ではありませんでした。

とか言って、実は精神病でしたって裏設定なんじゃないの?

ジブリは何かと裏設定を設けることが多いので、つい深読みしたくなりますが、本作の監督、米林宏昌はインタビューで杏奈の葛藤を「ある時期には誰しもが持つ感情」であると答えています。

杏奈は精神病であるとする意図があるとすれば、「誰しもが持つ感情」とは言い表さないのではないでしょうか。

また、米林宏昌は「耳をすませば」のようなさわやかな作品を作りたくてジブリに入社したともいわれているので、「杏奈=精神病」という暗い裏設定を設けた可能性は低いものと思われます。

 

思い出のマーニー には裏設定がある?

「思い出のマーニー」の裏設定としてネット上でよく耳にするのが「百合=女性の同性愛」をテーマにしているというものです。

作中で杏奈とマーニーは「大好き」「愛してる」といった恋愛を連想させる言葉を交わしており、しかもマーニーのボディタッチで杏奈が頬を赤らめるような場面もありました。

こういったシーンが「百合」疑惑に信ぴょう性を与えていますが、一方で、マーニーから杏奈への「大好き」や「愛してる」は恋愛感情ではないことがクライマックスで判明します。

恋愛感情じゃないっていうけど…なんとなーく百合っぽい雰囲気はあったよね

恋愛感情ではないとわかっていても「百合」の雰囲気を感じるのは、マーニーの杏奈に対する「好き」が特別な感情だからです。

先述の通りマーニーは杏奈が作り上げた「空想の中の女の子」ですが、だからといってマーニー=杏奈というわけではありません。

杏奈は物語冒頭で「私は私が嫌い」と言っています。

物語を通して杏奈が直面していた問題とは、自分が養子だから養父母が補助金をもらっている事実を知ってしまったせいで養父母の愛を疑ってしまう自分自身を好きになれないことです。

補助金の事実を知って杏奈は両親の愛が「無償の愛」ではなかったのではないかと疑ってしまい、そんなはずはないと信じることができず、自己嫌悪に陥っていました。

そんな杏奈が問題と向き合うための空想の中で、導き手として作り上げたのがマーニーです。

マーニーは「無償の愛」そのもののような存在で、無条件に杏奈を受け入れ、愛してくれます。

米林宏昌自身も「無償の愛」をイメージしてデザインしたと述べています。

結末まで見ればマーニーの「無償の愛」=杏奈が愛されていた記憶そのものということがわかるのですが、「マーニーは何者か」という点を無視して、作中に描かれているマーニーというキャラクターが杏奈を深く愛し、杏奈が満たされていく様子だけを見れば「百合」と捉えられても仕方のないように思われます。

また、杏奈の人間関係のほとんどが女性で構成されている点から、杏奈の関心が女性にしかないのではないか=「百合」という解釈をする人もいるようです。

女性たちの中で杏奈の物語を描いたことについて、米林宏昌はインタビューで「女の子の問題は女同士でしか解決できない」という考えを明かしています。

女性同士の人間関係の中で「無償の愛」を取り扱ったことが、裏設定として「百合」をテーマとしているのではないかと疑われている原因のようです。

公式で認める発言がみられないので事実であるとは断言できませんが、一部場面を切り取ると「百合」っぽく見える映画であることは間違いありません。

 

まとめ

調査してみたところ、「思い出のマーニー」の怖い都市伝説といえるものは「マーニー幽霊説」と「杏奈精神病説」しか見つけられませんでした。

「怖い」という感想が目立つ「思い出のマーニー」ですが、実際のところ他のジブリ作品に比べて怖い都市伝説が少ないようです。

これは、恐ろしい意図を思わせたり疑いたくなる描写がなく、「思い出のマーニー」の中で最も不思議な存在であるマーニーの正体が作中で明かされることから、怖い都市伝説=「怪談」にまで発展しなかったものと考えられます。

「杏奈精神病説」についても、根拠とされる問題行動も病的というほどではなく、空想の中でマーニーを作り上げたことも現実と向き合うための手段だったことを思うと、「精神病」と決めつけることはできないでしょう。

「思い出のマーニー」では裏設定として「百合」をテーマにしているというウワサもありました。

公式の意図するところであったかはさだかではありませんが、女性ばかりの人間関係が描かれる中で、マーニーが杏奈へ向けた「無償の愛」が恋愛感情であると解釈する人もいたために「百合」疑惑が生まれたようです。

都市伝説や裏設定のウワサが少ない「思い出のマーニー」はある意味では他のジブリ映画以上に、監督の意図がまっすぐ伝わってくる作品と言えるのかもしれません。

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